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坊守の俳句エッセイ

新任の教師緑陰抜けて来し

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明日は娘の家庭訪問です。今日のうちにこのエッセイを書き終えて、掃除をしなければなりません。息子が破った和室の障子は張り直しましたが、以前破られてしまった掛け軸も、外さなければなりません。
 
 娘の担任の先生は、去年も今年も若い男性です。娘は「おじさん」と言いますが、私から見れば決してそんなことはありません。やる気に溢れる熱血青年です。
 
 先日娘に、「家庭訪問の時、先生に何か話したい事とかある?」と半ば冗談で聞きました。すると娘は「ある!」と言います。
 
「私は影が薄くて、手を挙げても指されないから、そうならにようにしてもらいたい」と。
さらに「私が成績とか全部が普通だから、影が薄くなっちゃうの」と言うのです。
 
何と自分を客観視していることでしょう。
それを成績アップにつなげられないものかと、母親としては思いました。

 

まだ油断してゐる朝四月馬鹿

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先日、和室からビリビリと紙が破れる音が聞こえてきました。とっさに「息子が障子を破った!」と思い、駆けつけると、そこに息子はいませんでした。居たのはその先の掛け軸の前。下三分の一が破れ落ち、落ちた軸をコロコロと転がして、楽しそうに遊んでいました。私の悲鳴と共に娘が駆け付けてきて、「夢であってほしい・・・」とつぶやきました。正に言い得ています。何とその日は丁度四月一日。
 
 主人が帰ってきてから、「エープリールフールじゃないからね」と言いながら、和室へ連れていきました。主人は「何?何?」と言うばかりで、和室を見渡してもなかなか気がつきませんでした。

しびれを切らし、「ほら!」と床の間を指さすと、やっと「あ!」と声をあげました。

私がいきさつを説明すると、「まぁ仕方ない」と言って、さっさとその場を去ってしまいました。

こういうことは気にしないタイプなんだなぁと、主人の新たな面を発見した四月一日でした。

 

前日に倉から出せる雛飾る

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 先月から長引く娘の風邪や、私の花粉症、息子の健診で通院が続き、大忙しだった今日この頃。やっと落ち着いたと思っていたら、明日はひなまつり。娘に「明日はひなまつりだけど、今年はお人形出さなくてもいいよね」と軽く聞くと、どやされました。主人に頼んで娘と雛人形を飾ってもらい、なんとか体裁をつくろえました。
 
子どもというのはイベントが大好きです。
 
それはイベントには食べ物が付き物だからです。

でも、そこは情操教育の一環なので、一応お祝いすることが親の務めなのでしょう。

それでつい、自分が食べたかったこともあり、「ひなまつりケーキ買いに行こうか」と口走ってしまいました。娘は二つ返事で大張りきり。

しかし、全ての行事にケーキを買っていたら、家計が大変。反省しています。

 

春残しホットケーキを焼く匂ひ

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 ホットケーキはお好きですか。うちは子供も大人も大好きです。家庭でも簡単に作れるホットケーキは、まさに手作りおやつの王様。面倒くさがりの私でも、何とか作ることが出来ます。
 
 さて、娘の八歳の誕生日が近づいてまいりました。誕生日と言えばケーキ。娘にどうするのか聞くと、「自分で作る」と言います。ケーキなど作ったこともないのに。
でもこの年頃の子はやたらと自分でしたがります。うちの壊れかけのオーブンで作れる訳ないし。
 
私が付きっきりなんて、そんな時間はありません。「ホットケーキの上に生クリーム乗せればいいでしょ」と言えば、娘は「お母さんふざけてるの?」と一言。普段はホットケーキで、あんなに喜んでいるのに。結局、土台のスポンジはケーキ屋さんに作ってもらい、飾りだけする妥協点で収まりました。だんだんぜいたくになっていく娘の成長ぶりには、やや複雑な気持ちでいます。

 

夜食終へ置かれしままの茶碗かな

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 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、住職がダイエットに成功しました。
いままで何度もダイエットを試みてはきましたが、こんなに痩せたのは初めてです。その方法はまず、これまで当たり前のように食べていた夜食を止めることでした。
そして炭水化物抜きの夕食でした。主人は一カ月ほど、野菜たっぷり、肉少なめの鍋を食べ続けていました。
見ている方はもうげんなりです。
 
お陰で本人は、だんだん全体的に小食になってきました。もう明らかに私より小食です。そして気がつくと今度は私が太りだしました。主人にダイエットのアドバイスをしてきた手前、私が太る訳にもいかず、なるべく食べすぎないよう、心掛けています。
 
 先日、主人の部屋を片付けていると、夜食の後らしき食器が置いてありました。どうやら夜食をまた食べているようです。痩せたからと、最近新調した三つ揃えのスーツが着られなくなったらどうするのだろうと背筋がゾッとしました。

 

鶯の鳴く停電の朝かな

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つい先日おこった東日本大震災では、多くの命が失われました。そして、被災された方々の大変な生活は、まだまだ続いています。「豊かな国・日本」しか知らない私には、この事態がまだ少し夢のようで、現実ではない気さえしています。被災地とは比べものになりませんが、ほしい物は店頭になく、交通機関も麻痺、原発の放射能もれの危険もあります。
 
また、時々計画停電があります。ほんの数時間電気が使えないだけで、どれだけ不便を感じることでしょう。私達は便利な生活に慣れすぎてしまったのです。
 
ある停電の静かな朝、うぐいすの鳴き声がし、あまりの美しさにはっとしました。庭に目をやれば、うぐいすがなんともかわいらしく枝から枝へと飛び移りながら、鳴いているのです。人間達が震災に苦しんでいることなど、勿論何も知らないでしょう。その無邪気さが、うらやましくさえ思えました。よく見ればうぐいすは、何かエサをくわえています。しかし、それを落としてしまいました。
 
その瞬間、すかさず他の鳥がそのエサを食べてしまったのです。人間ばかりでなく他の生き物だって生きることは大変なのだと思いました。
 
この頃、計画停電がなくなってきたので、逆にこれでいいのかと心配です。電力は足りてきているのでしょうか。ずっと節電している薄暗い町にも慣れました。停電くらい何ともないので、被災地の方々が普段の生活に戻れることを願うばかりです。

 

春を待つ習い始めしピアノかな   釋法蓮(法子)

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最近娘が、学校でお友達からピアノを習ってきては、家で弾いています。先日は『エリーゼのために』の冒頭部分だけ繰り返し弾いるのです。「お母さんこの先分かる?」と聞かれ、最後まで弾いてあげると、主人も一緒に驚いていました。

 立徳寺の本堂にあるピアノは、私が小さい頃、家族で使っていたものです。古い割にそんなに汚れていないのは、私がほとんど練習をしていなかったからです。ピアノを習っていたのに、お教室へ練習して行かないのです。

だいたいの理由はピアノが本堂にあって面倒なのと、夜は怖いのと、冬は寒いからだったと思います。当然、毎回ぶっつけ本番なので、ものすごく下手でした。先生はイライラ。いつもヒステリーになっていました。

練習すればいいのに、ポリシーのようにしないのです。ただひたすら辞めたいと願い両親に懇願しても、これだけは聞き入れてくれませんでした。

 私にはピアノの才能がなく、好きではなかったのです。子どもでも、そのくらいは自分で分かります。好きこそものの上手なれ。でも憧れて始めたいと言い出したのは自分なので、責任があります。

やっと中学生になって辞めることが出来た時は、本当に嬉しかったです。辞めてから、ピアノ女子の憧れの曲『エリーゼのために』の楽譜を買ってきて、独学で弾けるようになりました。そして私が今でも弾けるたった一つの曲。今、ピアノは嫌いではなくなりました。

 

炬燵出す出さぬで家族会議かな   釋法蓮(法子)

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皆さんのお宅は、炬燵を使っていますか。我が家では今年、炬燵の無い冬を過ごしています。

 先日主人が「そろそろ炬燵を出そうよ。炬燵は一家団らんに欠かせない」と言い出しました。去年は電気絨毯が壊れたので、仕方なく出しましたが、今年は違います。私は断固として拒否しました。去年を思い出すと悲惨なことになっていたからです。

炬燵があると、よほど常に整理整頓を心がけないと、とても部屋が散らかって見えます。いざ掃除をするのも一苦労。でも心地良さは抜群なので、一度入ればなかなか出られず、家事の効率は下がり、うたたねも増えます。去年も春炬燵どころか、夏に入りそうな時まで仕舞う事が出来ませんでした。まさに魔物です。

私があまりに力説するので、主人はその場は引きさがりましたが、今でも不満そうです。私も入りたいのはやまやまなのですが、そう言う訳で、涙を飲んで我慢しているのです。早く春が来てくれるのを願うばかりです。

 

衝動買ひしたるポインセチアかな   釋法蓮(法子)

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クリスマス前になると花屋さんの店先には、真っ赤なポインセチアが並びます。自ずと気分は盛り上がります。これを家にかざれば、きっと一気におしゃれになるはず。買ってしまおうか、心は一瞬揺れます。いえいえ、でも買いません。

若い頃は素敵な雑貨や服など色々買ってきてしまいました。でも主婦となってからは、家計の事を考えるようになり、ほとんど無駄な買い物はしなくなってしまいました。それも少し寂しい気がします。

 この前、友人のものすごい衝動買いに居合わせました。リサイクル着物を見たいというので付き合っていました。その時、素敵な黄八丈を発見した友人は、すぐに「これ買おう」と言い出しました。

リサイクルといっても、一応着物なので○万円の高値。「銀行でお金下ろしてくるね」とさわやかに言って、本当に買ってしまいました。もう二十年の付き合いになりますが、その子が衝動買いをするのを見たのは初めて。

それまでかなりの倹約家と思っていたのですが、やはり独身貴族のなせる技でしょうか。長い付き合いでも、親友の新しい一面を発見した思いでした。
 

 

子を夫に預け師走の町へ出て   釋法蓮(法子)

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六年前、長女を出産した時は、東京の真ん中の築地に住んでいました。主人が早く帰宅した時などは、娘を預け出かけるのが、とても良い気分転換になりました。近所の銀座のデパートのショーウィンドウを見れば、すぐに華やいだ気分になったものでした。

 しかし今は、時間が空いてもあまり出かける気分になりませんでした。

やはり近くに楽しめる所がないからだと思っていました。ところが、見つけました。今まで近すぎて行ったことがなかった、地元の農産物を売っている店です。

店内のBGMはいつも民謡。普段から、出来る限り野菜は地元のものを買うようにしていますが、安いし新鮮です。一つの野菜でも色々な種類があって、見ているだけで楽しいのです。かぼちゃを一つじっと見ていれば、こんなに大きくなるまで、

どのくらいの年月と労力がかかったのかと思うと、なんだか泣けてきます。他にも地元のパン屋さんから仕入れたパンや、普通のお店には出ていない昔懐かしの駄菓子が売っていて、まさに私好みの店。ここのところ毎日通っています。でもさすがにおしゃれなお店が恋しくなってきました

 

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