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坊守の俳句エッセイ

早朝のまだ静かなる初夏の街

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気が付けばもう五月。世間ではゴールデンウィークが始まりました。ゴールデンウィークなどの長い休暇、喜んでいるのは正直、子ども達だけです。親は、これから始まる恐怖の連休を思うと、身震いすらおぼえます。
 ところで私は今、朝からドーナツ屋さんに来ています。最近、書かなければいけない原稿などがあると、ここに来ます。今朝も、下の子を保育園に送ったその足で、ここに来ました。おかわり自由のカフェオレを傍らに、原稿をやっつけています。お金をかけてここに来ていると思うと、ものすごい集中力を発揮し、あっという間に出来上がってしまいます。人は切羽詰まれば、大抵のことは出来てしまうものです。
 普段、朝のドーナツ屋さんは、そこそこ混んでいます。年配の女性が多く、のんびりドーナツをほおばっています。みんな第一線を退き、余裕がある感じがします。これから会社に行く人では間に合わないでしょうからね。
 でも今日はいつもの顔ぶれではありません。  あきらかに客層が若い。若いママ達が子どもを連れてきている人も数人。店も混み始めました。私もそろそろ切り上げて、明日からの連休に備えなければ。
 

 

葛藤の心抱えて町うらら

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先日、いつものように食料品の買い出しに行った時のこと。かなりの量をカゴに入れ、レジに並んでおりました。自分の番がまわってきて、財布を開けると、そこにお札はなく、レシートばかり。小銭はありましたが、とても足りない。一瞬にして冷や汗が出てきました。「お金を車の中に忘れてきたようなので、すぐ取りに行ってきます。」と走りだしました。車に戻ってみてもお金は無く、仕方なく家に戻ることに。その間、私は「こういう時、そのまま戻らない人もいるんだろうな」などと、心の中で葛藤していました。
 レジに戻り、「すいません。車にお金が無かったので、家まで帰っていました」と言うと、レジの人は「戻ってきていただいて良かったです。」と嬉しそうな顔をしていました。そして、「冷凍のものは冷凍庫に戻してしまったので、自分でだしてください」と言いました。やはり、私の戻りが遅かったため、もう戻らないかもしれないと思ったのでしょう。その時ふとこれは、太宰治の「走れメロス」にそっくりだと気付きました。葛藤の中にも人を信じる尊さを説く、誰もが知る名作。こんな日常の中にも名作が息づいているとは、驚きました。

 

春の風邪治りいつもの町へ出て

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最近、暖かい日が急にあったり、気温の変化が激しいなぁと思っていたところ。やはり、風邪をひきました。しかも本格的な高熱で、意識は朦朧。悪夢に数日うなされ、やっと動けるようになりました。
色々な用事がすっかりたまってしまって、一人車で出かけました。その途中、ドライブスルーでコーヒーを買って行く事にしました。コーヒーを待つ間、車の窓も開いていて、レジの人との長い沈黙が続きます。私はこの沈黙は嫌いではありません。何も考えなくて、しゃべらなくていい時間なのです。でもそこのお店の人は、時々気を使って話しかけてくれるのです。その初対面で、「気を使われている」会話が、私はどうも苦手で辛いのです。「これからお出かけですか?今日は春って感じで気持ちいいですよね。僕も出かけたくなっちゃいます」などと言われても、「はぁ・・・」としか答えようがな
いのです。こんな時、欧米ならジョークをまじえて笑顔で会話するのでしょうが、私はただ、わき汗をかくばかりでした。
 

 

冬ざれの手入れ怠りがちな庭

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境内の木の葉がすべて落ち切った先日のこと。いままで葉っぱに隠れていて気付かなかった木の枝の間に、あるものが出現しました。それはスズメバチの巣。縦長の楕円形で、大人の頭よりやや大きい感じ。そういえば、スズメバチが凶暴になるといわれる秋、洗濯物を干していると、蜂に追いかけられたりしていました。
 さっそく、駆除の申し込みをしようと、業者に電話をかけました。すると、「この寒さでは蜂は越冬できないので、放っておいても大丈夫」とい
う意外な答え。それで、少し気は引けますが、そのままにして窓から巣を眺めている毎日です。 先日、そのスズメバチの巣がある木に野良猫が登っている、珍しい光景を見ました。猫は明らかに巣を目指して登り、近くまで来て臭いを嗅ぎ、すぐに降りてしまいました。「あの物体は何なのか」を確かめられずには、いられなかったのでしょう。好奇心に勝てないというのは、
猫も同じなのだと思いました。
 

 

夏休み後半となり午後の街

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夏休みも終わる先日、娘と原宿へ行ってきました。私と娘の大好きなアニメの作者のサイン会へ行ったのです。原宿は私にとって十数年ぶり。娘は初めてです。小学生の高学年女子にとって原宿はオシャレの聖地。そしていまや、「カワイイ」文化の発信地と言われ、世界的にも有名になっています。
思い返せば、私も初めて原宿へ行ったのは、オシャレに目覚め始めた、小学校六年生の時。亡き母と二人で行きました。服を買ってもらったり、クレープを食べたりしたなぁと、ふとすれ違う人たちを見ると、やはり小学生の女の子とお母さんの二人で歩いている人が多い。「原宿に行きたい」と言い出した娘に母親が付き添ってているのでしょうか。やがては、友達や彼氏と来るであろう娘のために。結局、私と母とでは原宿は一度しか行かなかったと思います。そして、今度は私が娘を連れて来ることになるとは。しかし、すっかり土地勘を忘れ、まったく案内にならず、無駄に歩いてばかり。疲れすぎてもう二度と原宿には行かないだろうと思いました。
 

 

夏休み終はりリビング広くなり

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梅雨が明けたと同時に、リビングのエアコンが完全に壊れてしまいました。ここ数年、修理をし続けてきましたが、もう部品も無いため、修理ができないそうです。本当に残念。そのため、新しいエアコンが入るまで、隣の部屋で生活をしています。たくさんの家具が置いてあるため、わずか二畳ほどのところで、寝食をしています。痛みそうな食品などもこの部屋に入れているので、色々な臭いもしております。
 先日、父が突然訪ねてきて、この部屋に通すと、私たちのこのすさんだ生活をみて閉口しておりました。そして急いで帰ってしまいました。でも、思い返してみれば、私の実家の部屋もこんな感じで、狭い部屋に物がいっぱい置かれたまま、今でもそのままにしてあるのです。少しずつ必要な物は持ち出していましたが、最近はご無沙汰でした。そこで、涼しくなったら、実家の部屋の最低限の物だけ残し、後は処分することにしようと、「断捨離」を心に決めた夏でした。
 

 

晩秋や丸いポストの残る町

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近所にまだ一つだけ丸い形のポストがあります。昔ながらの個売りのタバコ屋の前にあって、絵にかいたようなレトロな風景です。「本当にまだ使っているのかな?」と横の回収時間を見てみると、一日一回。伊勢原では普通一日二回なので、つい他のポストで出してしまいます。
 先日、娘が私の叔母に手紙を出す為に、自分でポストに投函しにいきました。叔母は翌々日からヒマラヤ山脈に長期の旅行へ出かける予定でした。出かける前に読んでもらいたいという気持ちでしたが、前日、叔母に電話してみると、手紙は届いていないと言うのです。娘に「どこのポストに入れたの?」と聞くと、「あの丸いポストだよ」と答えました。「あそこは着くのが遅いんだよ」と言うと、とてもがっかりしていました。
 そして叔母が帰ってくるのを本当に首を長くして待ちました。娘は私の母が亡くなってから、特に叔母の事を慕っているようです。やがてやっと旅行から帰った叔母から「お手紙ありがとう」と電話があり、娘は受話器に飛びついて話しをしていました。待った分だけ、喜びが大きく感じられたのでしょう。

 

緑陰や歓声あがるウェディング

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先月六月はジューンブライドの月。結婚式の多い月です。主人は友人の結婚式で京都へ行ったりしていました。主人は今までも友人の結婚式に数えきれないほど出席しています。主人の交友関係の広さには驚くばかり。対し私はほんの数回。しかも全部お寺関係なので、半分は仕事の様なもの。一方、長年の学生からの友人たちは、未だ独身を貫いております。彼氏がいても結婚しなかったり、飼っている犬がいれば十分という考え。まさに自由人。私としては、たまには結婚式のような華やかな場に出て、感動的な場面に立ち合いたいと思うのですが、なかなかご縁がありません。
 先日、小学四年生の娘と結婚についてのたわいのない話をしました。すると娘は意外にも、「早く性格のいい人を見つけて結婚して、子どもを産みたい」と言うのです。なんというしっかり者の真面目。「結婚しないという選択肢もあるんだよ」と言ってもガンとして考えを変えません。もしこれが
本当ならば、私が一番最近で呼ばれる結婚式は娘のでしょうか。友人のものよりも確かに可能性は高いかもしれません。

 

蜂に刺されしことまづ今朝のニュース 

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    先日、生まれて初めて蜂に刺されました。しかも数か所。いやいや、本当に驚きました。
   その日、洗濯物を取り込んでそのまま部屋干しにしておりました。グレーと黒のTシャツの二枚が干してあり、どちらを着ようか一瞬迷いました。グレーの方を見ると大きなシミがあり、「これはもう雑布にしなくちゃいけないな」と思い、黒の方にしました。思えばこれが運のツキ。それを着て、すぐ床につきました。眠りに落ちかけたその時、左の背中に激痛が走りました。「この痛みはまさか神経痛?気のせいだ、早く寝よう」と気を取り直すと、今度は右の背中、そして真ん中と痛みが移ります。「これは気のせいじゃない」と起き上がり背中を触ってみると何やら羽の感触。Tシャツの中に足長蜂が入っていたのです。「こんなにいっぱい刺されてショック死しないだろうか」と不安になりながらも夜中だし、なすすべもなく眠りにつきました。次の朝、命はありました。そして昨夜の出来事を家族に得意気に話しました。すると「何でそんなに刺されるまで気付かなかったの?」と冷静に言われてしまいました。
 

 

花壇より一本外れチューリップ

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    先月のある日、娘が「庭にアロエが生えてる」と言い出しました。見てみると、確かにくねっとした葉っぱの茎が一本、花壇から離れた、ちょうどリビングの窓の前に生えていました。「アロエではないけど、なんだろうね」と言っていた数日後。その茎からつぼみが出てきました。小さいけれど、まさしくチューリップ。それから子ども達と毎日観察をしました。カーテンを開ければ、いつでもすぐ見られるので、とても楽。ある日、つぼみが赤く色付いてきました。「赤いチューリップだったんだね」と娘は喜びました。それから数日後、花びらが開いてきました。まだ少ししか開きません。息子は「お花、お花」と言って、両手で毎日そっくりな形を作っていました。やがて、大きく開き花びらは散っていきました。息子は「お花ない、お花ない」と悲しそうに言っていました。 最後に「チューリップさん、バイバーイ、ありがとうね」と子ども達と言うと、何だか私もとても悲しくなってしまいました。多分、子ども達と話していると、童心にかえるからなのでしょう。

 

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