ホーム>立徳寺だより>坊守の俳句エッセイ>壁紙の絵柄に蜘蛛の加はりし   釋法蓮(法子)
坊守の俳句エッセイ

壁紙の絵柄に蜘蛛の加はりし   釋法蓮(法子)

くものす.gif

一年前に伊勢原市に越してきてから、たくさんの虫たちを見かけるようになりました。かたつむり、蟻、ミミズ、ムカデなど、以前住んでいた築地ではあまり見かけることはありませんでした。とりわけ、毎日のように家の中でも、庭でも見かけるのが蜘蛛です。家の中では、いたる所で家蜘蛛が姿を現します。冒頭の句のように、壁紙の絵だと思っていたら、蜘蛛だったこともありました。娘は蟻ほどの小さな蜘蛛にも「怖い怖い」と泣き叫びますが、私はその蜘蛛を殺しません。子供の頃から父が、「蜘蛛は害虫を食べてくれる」と言っていたのと、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の内容を思い出してしまうからです。主人公が蜘蛛を踏み潰さなかったことで、地獄で蜘蛛に助けられる訳ですが、私も秘かにその蜘蛛の糸を期待しているのかもしれません(笑)蜘蛛は普段はひっそり静かで、時にすばやく動き、そして糸をはいて、芸実的な巣を作り出す、ミステリアスな虫です。ある日リビングのシャッターを下ろすと、その内側に今まで見たこともない大きな蜘蛛が一緒に下りてきました。その蜘蛛というのが、なんと、私の指よりも太い手足を持ち、全体に毛が生え、身体には大きな円の柄が一つある、男の人の手のひらほどの蜘蛛でした。蜘蛛が苦手でない私でも、さすがに大声を出してしまうほど、びっくりしました。そして蜘蛛は音もなく、するするとまたシャッターの隙間にもどっていきました。いったい何年くらい生きていれば、あんなに大きくなるのでしょうか。今でも同じ屋根の下に暮らしていると思うと、まさにミステリーです。

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.ryuutokuji.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/58

ページ上部へ