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坊守の俳句エッセイ

引っ越して来たりし街に笹子鳴く 釋法蓮(法子)

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 東京の築地を離れることになった時は、正直寂しい気持ちもありました。何故なら私は、いわゆる有名店や気になる怪しいお店などは必ず一度、食し てみたいと思う性。そんな私にとって、銀座も近く、たくさんの飲食店が並ぶ築地は、まさに宝島だったのです。そしてこの度、ご法儀伝道のため、伊勢原市に 引っ越してきて、はや七ヶ月が過ぎました。大山がそびえる広い空、澄んだ空気は格別です。ゆっくり流れる時間の中で庭の草むしりや、柿をもいだりする今の 生活は、築地での生活が遠い昔のことのようにさえ感じられます。

 ある日の夕方、窓を開け、外をぼんやり眺めていました。立徳寺は高台にあるため街を見下ろすように、遠くの方まで見通すことができ、私はこの景色がとて も好きです。その時、夕風に乗って何かを売る声が聞こえてきました。なんとも風情があるものだと思っていると、今度ははっきりと聞こえました。あの有名な 焼き芋のメロディーに乗せて「餃子~。ぎょ~ざー。美味しい美味しい餃子の移動販売でーす。」なんと餃子の移動販売とは!これには大変感激しました。

 冒頭の句は、引越してきた新しい街で笹子が鳴いたという句です。笹子とは鶯の子のことで、まだ、ホーホケキョとは鳴かず、鳴き習うように聞こえることを いいます。新しい土地に対する不安と期待を抱く、私自身の気持ちかもしれません。それぞれの土地に素晴らしさがあり、私たちもこの土地に慣れ親しむ中で、 立徳寺が皆様の聞法道場として発展していければと思っております。

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